認定制度

薬剤師国家試験に合格された方々から薬ゼミへ「認定薬剤師って何ですか?」「かかりつけ薬剤師とどんな関係性がありますか?」などの質問を頂くことがあります。
このページでは、認定制度について紹介します。

患者のための薬局ビジョン

薬剤師・薬局を患者本位のかかりつけ薬剤師・薬局に再編しようと、厚生労働省は平成27年(2015年)10月23日に「患者のための薬局ビジョン」を策定しました。日本の薬局はこのビジョンに基づき、患者本位の医薬分業の実現に向けて運営されています。

かかりつけ薬剤師・かかりつけ薬局とは

「かかりつけ薬剤師」とは、薬による治療のことや、健康や介護に関することなどの豊富な知識を持ち、患者さんや生活者のニーズに沿った相談に応じることができる薬剤師のことです。かかりつけ薬剤師認定要件を満たしたうえで勤務先薬局が厚生労働省地方厚生(支)局へ届出(かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の施設基準に係る届出)を行い、認定された薬剤師は、患者さんから書面同意を得ることで「かかりつけ薬剤師指導料」や「かかりつけ薬剤師包括管理料」を受けて患者さんの包括サポートに携わることができます。

「かかりつけ薬局」とは、かかりつけ薬剤師がその役割を発揮できるように、業務管理や構造設備の確保、品質管理等に対応できる薬局のことです。

患者のための薬局ビジョンにおいて厚生労働省は、2025年までに「門前薬局を含むすべての薬局がかかりつけ薬局としての機能を持つこと」を目指しています。
多くの患者さんが門前薬局で薬を受け取っている現状に対し「どの医療機関を受診しても身近なところにあるかかりつけ薬局に行く」ことを今後の薬局の在り方と示しており、かかりつけ薬剤師のニーズがますます高まることが予想されます。

かかりつけ薬剤師の認定要件

「かかりつけ薬剤師」の認定には、下記5つの要件全てを満たすことが必要です。
  1. 薬剤師として薬局での勤務が3年以上ある
  2. 勤務先の薬局に週32時間以上勤務している
    (例外規定:32時間以上勤務する他の保険薬剤師を届け出た保険薬局において、育児・介護休業法の規定により労働時間が短縮された場合にあっては、週24時間以上かつ週4日以上勤務している を含む ※短時間勤務の保険薬剤師のみでは届出不可)
  3. 勤務先の薬局に1年以上在籍している
  4. 公益社団法人薬剤師認定制度認証機構(CPC)が認証している研修認定薬剤師を取得している
  5. 医療に関わる地域活動に参画している
薬ゼミ生涯学習センターは、要件4にある「研修認定薬剤師」を輩出するCPC認定プロバイダーの1機関です。
CPC認定プロバイダー(2022年9月30日時点で34機関)が提供する集合研修・自己研修の受講により一定単位を取得することで、研修認定薬剤師の認定申請が可能となります。

研修認定薬剤師とは

認定薬剤師は「自己研鑽により資質向上努力を継続している薬剤師」を証明する制度です。薬剤師が最新の知識や技術を有し、薬剤師としてふさわしい資質を維持するため、1994年にスタートしました。

認定薬剤師制度は、以下の3種類に大別されています。
生涯研修認定制度
薬剤師職能の向上を目的とする各種研修を企画、実施、評価し、成果に対して単位を給付する制度、及び一定水準の生涯研修記録に基づき成果を認定する制度 かかりつけ薬剤師認定要件の1つ
特定領域認定制度
生涯研修の中で焦点を絞り、特定分野・領域について適切に学習を納めた成果を認定する制度(例:漢方薬・生薬認定薬剤師制度)
専門薬剤師認定制度
特定の疾患、診療領域等を対象に、薬学的専門知識を生かして保健、チーム医療、地域医療、福祉に貢献できる能力を保証し、専門薬剤師として認定する制度(例:がん専門薬剤師認定制度)
薬ゼミ生涯学習センターが提供する生涯学習講座は、薬剤師や医師を講師に迎え、バリエーション豊かなテーマで実施しています。
各講座は、厚生労働省が“患者のための薬局ビジョン”に定める「かかりつけ薬剤師・薬局が持つべき3つの機能」に対応しています。

薬局ビジョンが定める「かかりつけ薬剤師・薬局が持つべき3つの機能」と薬ゼミ生涯学習講座

かかりつけ薬剤師・薬局が持つべき3つの機能
機能概要
薬ゼミの生涯学習講座(一例)
1.服薬情報の一元的・継続的把握
  • 主治医との連携、患者さんからのインタビューやお薬手帳の内容の把握等を通じて、患者さんがかかっている全ての医療機関や服用薬を一元的・継続的に把握し、薬学的管理・指導を実施
  • 患者さんに複数のお薬手帳が発行されている場合は、お薬手帳の一冊化・集約化を実施
  • 症例から考えるポリファーマシー(2022年5月22日実施)
  • 薬剤師に求められる症状対応~風邪・腰痛~(2022年3月13日実施)
2.24時間対応・在宅対応
  • 薬の副作用や飲み間違い、服用のタイミング等に関し、電話相談を開局時間以外でも随時実施
  • 夜間・休日も、在宅患者の症状悪化時などの場合には調剤を実施
  • 地域包括ケアの一環として、残薬管理等のため、在宅対応にも積極的に関与
※ 薬局単独での実施が困難な場合には、調剤体制について近隣の薬局や地区薬剤師会等と連携
※ へき地等では、患者の状況確認や相談受付で、薬局以外の地域包括センター等との連携も模索
  • 薬剤師にこそ知って欲しいHDSR~明日から即戦力になる認知症の知識をあなたへ~(2021年8月1日実施)
  • 多職種連携のため口腔に関する理解を深めよう~調剤薬局窓口や在宅訪問で患者さんと接するために~(2021年11月7日実施)※一般社団法人日本口腔ケア学会と共催
  • 症例から学ぶ排泄ケア~便秘と頻尿~(2021年6月20日実施)
  • 薬剤師が変われば、褥瘡治療が変わる(2021年4月4日実施)
3.医療機関等との連携
  • 医師の処方内容をチェックし、処方医に対する疑義照会や処方提案を必要に応じて実施
  • 調剤後も患者の状態を把握し、処方医へのフィードバックや残薬管理・服薬指導
  • 医薬品等の相談や健康相談に対応し、医療機関に受診勧奨する他、地域の関係機関と連携
  • EBMを活用した臨床決断ができる薬剤師への道(2021年12月19日実施)
  • 検査値から読み解く症例解析(2021年9月12日実施)
  • 薬剤師に知って欲しい!整形外科医の処方意図~鎮痛薬・骨粗しょう症・関節リウマチを中心に~(2021年8月24日実施)
  • 人の心を動かすコミュニケーション技法(2021年7月11日実施)

認定薬剤師になるには?

薬剤師認定制度認証機構(CPC)が定めた集合研修や自己研修を一定期間内に受講し、得た単位をCPCへ申請することにより、有効期限を設けた認定を受けることができます。

CPCが定める研修を提供するプロバイダーは34機関(2022年9月30日時点)ありますが、他のプロバイダーの発行単位と合算して申請できるか否かや、新規申請時や更新時に必要な単位数はプロバイダーごとに異なります。

薬ゼミ生涯学習センターの必要単位数

新規申請時
初回研修単位申請日から4年以内に40単位 かつ 毎年最低5単位
(他のプロバイダーの発行単位を含んで構わないが、うち20単位は薬ゼミ生涯学習センターが発行する単位。40単位に達した時点で申請可能。年間5単位以上の要件は最終年には不問)

更新時
前回申請日から3年間で30単位 かつ 毎年最低5単位
(他のプロバイダーの発行単位を含んで構わないが、うち5単位以上は薬ゼミ生涯学習センターが発行する単位)

※ 日本薬剤師研修センター(G01)の単位を含んで申請される場合は、G01が発行するシール、もしくはG01のシステムより発行の「単位証明書」の送付が必要となります。G01が発行する「受講証明書」の提出は不要となりました。

プロバイダー一覧 (2022年9月30日現在)

プロバイダーとは

それぞれのプロバイダーは認定薬剤師取得のための認定薬剤師研修単位(研修シール)を発給します。この研修シールは原則として共通に有効(互換性)であり、どのプロバイダーにも認定証の申請ができます。ただし、プロバイダーによって認定証申請の条件は異なりますので、各プロバイダーのホームページ等で確認ください。
  • 現在、薬剤師認定制度認証機構(CPC)の下に、34団体がプロバイダーとして生涯研修認定制度の認証を受けており、すべて同列の認定として扱われます。
    当センターも2010年12月17日にプロバイダーとして認定されました。
  • 薬学ゼミナール生涯学習センターの認定には日本薬剤師研修センターなど他プロバイダーシールでも有効です。
  • G:生涯研修認定制度
  • P:特定領域認定制度
  • E:その他の薬剤師民定制度